いざ相続が発生した場合、いろいろな手続きが必要になってきます。
出来るだけ自分でやろうとは思っていても、専門的なことになると何から手を付けていいかのかさっぱり分からないことも多いはず。
特に相続税の申告手続きはとても難しいので、税理士にお願いしようという方がほとんどかなと思います。
ただ実際に税理士に依頼しようと思ったとき、真っ先に考えるのが「いくらくらいかかるんだろう・・・」ということですよね。
「スマホやパソコンで調べてみたけど、うちの場合にはどこに当てはまるんだろう?」
「手数料がすっごい安い税理士と高い税理士がいるんだけど、どっちにしておいた方がいいの?」
そういったご相談を受けることが良くあります。
この相続税の申告手数料の相場ということを解説してみたいと思います。
平均的な相場は遺産総額の0.5~1%程度
よく一つの目安として言われている税理士報酬の相場が「遺産総額に対して0.5~1.0%」という金額です。
例えば、遺産総額が8,000万円だとすると、40万円~80万円の間というところですね。
当社の平均値で言うと、だいたい遺産額の0.7%くらいになるのかなと思います。
このくらいの金額の範囲内であれば、だいたい相場の中でおさまっているかなというところ。
ホームページ上で手数料を公開している税理士事務所も増えてきたので、このくらいの相場観をもって探していただけると良いのかなと思います。
料金体系は税理士によって異なる
ただ、相続税の料金体系は税理士によって異なります。
大きく分けると次の2パターンが多いですね。
① 遺産総額に対して単純にパーセンテージで報酬を決めるところ
単純に「遺産総額×0.7%」のような計算式で報酬を決めるようなシステムです。
依頼をする方にしてみると単純で分かりやすいかもしれませんが、実は割高になってしまうこともあります。
例えば、相続する財産のほとんどが預貯金だった場合、いくら総額が多くても作成する書類はそんなに多くなかったりします。
そうすると、内容的には簡単であっても税理士費用は高めになってしまうんです。
逆に、相続する財産が土地など評価が大変なものが多い場合には多少割安になるかもしれません。
いずれにしてもザックリとした金額で報酬額が決まってしまうのが特徴ですね。
② 財産の内容に応じて報酬を決めるところ
基本料金にプラスして、財産の内容に応じたプラス料金を加算していくシステムです。
相続する財産の種類に応じて報酬額が変わるので若干複雑ですが、お客様の状況に合わせた料金を提案できます。
例えば、農地やアパートなど評価が難しいものがあれば加算料金が多くなります。
逆に自宅や預貯金が相続財産のメインの方にしてみると、それほど加算される料金が増えないのでリーズナブルになります。
お見積もりが若干大変ですが、こちらの方がお客様の状況に合わせた提案ができます。
(当社はこちらの方法を採用しています)
大きな事務所は平均相場よりも高い?
最近は相続税専門の看板を出している税理士法人が多くなりました。
神奈川にも相続専門のCMなどを流している大きな税理士法人がありますね。
こういった大きな税理士法人は確かに相続税の細かい点にまで精通していますし、何人も専門の税理士をかかえているので間違いのない申告書を作ってくれると思います。
ただ、それだけ大きな専門家集団を維持していくためには大きなコストもかかっています。
そういったコストを回収するためには、手数料も多く稼ぐ必要があります。
何十億も資産があるような方であれば、そういった大きな事務所に依頼することで安心感を買うことができます。
ただ、数千万~1億ちょっとくらいの資産額であれば、大きな事務所の手数料はちょっと割高になってしまいますね。
事前に見積もりを出してくれる税理士は少ない?
税理士のところへ相続税の相談に行けば、具体的にどのような手続きが必要か教えてくれます。
相続税の金額についてもおおよその額については教えてくれるところも多いです。
ただ、税理士に支払う費用についてのお見積もりをしてくれるところはそんなに多くはありません。
それは、相続税の申告書の作成については、実際に具体的な財産の内容を調べてみないと分からないことが多いのです。
土地ひとつとってみても、キレイな正方形のところもあれば入り組んだ形をしている土地もあります。
市街地の真ん中の土地と田舎の方の畑では評価方法も違います。
また、ご家族の状況によってはどうやって財産を分割すればいいのかということから対応が必要なこともあります。
相続というのはそれぞれの状況によってガラッと変わってきてしまうので、あらかじめどういった処理が必要かというのが見えないんです。
そのため、だいたいこのくらいかなぁ・・・という金額もお伝え出来ない税理士も多いのです。
経験があればお見積もりは出せます!
ただ、相続税の申告に慣れている税理士であれば、最初のヒアリングの段階である程度の仕事のボリュームというのが判断できます。
逆に相続税の申告に慣れていないと、どのくらいのボリュームになるか予測がつかないので見積もりを出せないんですね。
また、キチンとした料金表がある税理士事務所であれば、あとで想定以上の報酬を請求されてびっくりすることはありません。
実際に税理士に相談に行ったときには、相続税の申告の料金表があるかどうか、事前にお見積もりをもらえるかどうかということをチェックしておくことが余計なトラブルを回避する方法となります。
業者が紹介する税理士は相場より高い?
相続税の相談ができる税理士を探しているとき、どこに相談していいか分からないこともありますよね。
農家であれば地元の農協、お葬式をした葬儀会社、ダイレクトメールなどなど。
様々なところでご相談されることも多いかなと思います。
きちんと親身に対応してくれるところが多いですが、なかには税理士でないスタッフが対応しているところもあります。
また、紹介をしてくれた業者に紹介料などのバックマージンを支払っている税理士もいます。
そういったコストが上乗せされるため、一般的な相場よりも高い報酬を請求してくるケースもあるようです。
できれば2~3人ほどの税理士にお見積もりをもらうようにしてみると、安心して相続税の申告手続きをお願いできると思いますよ。