相続に関する不動産のご相談で最も多い内容とは何だか分かりますか?
その内容というのは、実際には使われていない状態の建物や土地、いわゆる「空き家」を売却したいというものです。
不動産の売却というのは大変
不動産の売却というイベントは、人生で何度も経験することではありません。
ですからどこに相談をしていいのかということすら、良く分かりませんよね?
「おそらく不動産屋に聞けばいいんじゃないのかな・・・」
とはうっすら思っていても、どこの不動産屋を信じていいのか分かりません。
そういった取引について経験豊富である不動産会社に比べると、こちらの情報は圧倒的に少ないのが現実です。
なんとなく言いくるめられてしまい、不利な条件で取引してしまうのではないかという心配もあります。
より良い売却の方法、より良いタイミング、より良い特例の使い方などはその道の専門家であり、第三者の立場でもある税理士に相談するのがおススメ。
しっかり知識のある第三者の専門家に相談して、こちらもある程度の知識を身に着けてから売却相談に進みましょう。
だれが相続するか決まっていない不動産を売却する場合
まだ、誰が取得するのかという分割協議が終わっていない不動産を、未分割のまま売却することも出来ます。
このような場合には、各相続人が法定相続分という民法で定められた割合に基づいて持分を持ち、その人たちが共同で売却したものと考えます。
例えば、お父さんが亡くなって遺族がお母さんと子供二人の場合、お母さんの割合は1/2、子供の割合はそれぞれ1/4づつとなります。
この割合に基づいて売却代金を分割し、それぞれが個別に税金を計算して申告することになるんですね。
ただ、この税金計算上で使える特例には違いが出てきます。
例えば、その売却する不動産が自宅であった場合、同居していたお母さんについては「居住用不動産の売却の特例」という税金計算の特例があります。
この特例を使えば、もし売却したことによる利益が3,000万円以下であれば所得税などの税金が発生しません。
一方、同居していない子供たちであればこの特例が使えません。
ですので、もし税金を少しでも少なくするのであれば、こういった特例をうまく使うにはどうすればいいのかという検討も必要です。
このような相談は分割や売却をする前にしないと後悔することになります。
例えば、未分割の状態で売却してしまうと法定相続分でそれぞれが相続することを同意したと判断されます。
後日分割協議をして法定相続分と異なる割合で代金を分割することは原則的には認められません。ご注意ください。
相続してすぐ売却するときの注意点
亡くなった人の自宅土地について小規模宅地の特例を使う場合も注意が必要です。
相続税の申告期限(亡くなった日の10ヶ月後)までにその小規模宅地の特例を適用した土地を売却すると、80%の減額が使えません。
相続税の申告においては、この特例が使えるかどうかが非常に重要なポイントになります。
小規模宅地の特例は、土地の評価額を最大で80%減額するというもの。
実際にこの特例を使ったおかげで相続税がゼロになったというケースが良くあります。
妻や夫などの配偶者が自宅土地を相続する場合、申告期限前に売却した場合であっても80%の減額ができることになっています。
一方、子供などの場合には申告期限までは売却することはできません。
小規模宅地の特例など、相続税特例の適用を受けるには様々な要件を満たす必要があります。
必ず専門家に確認をして、正しい手続きを行ってください。